
「歩くと膝が痛い」「階段の昇り降りがつらい」
50代になると、こうした膝の悩みを訴える方が増えてきます。
特に女性に多いのが変形性膝関節症。
放置すると関節がどんどんすり減り、最終的には手術が必要になるケースもあります。
医療現場で膝の治療に関わってきた経験から、今回は膝の痛みの原因と、若いうちからできる予防法をお伝えします。
項目 | 男性 | 女性 | 備考 |
有病率(40歳以上) | 約42% | 約61.5% | 日本の疫学調査より |
人工膝関節置換術の実施率(米国) | 約45.3件/1万人(2010年) | 約65.5件/1万人(2010年) | 米国データでは女性が男性より約50%高い |
特徴 | 発症率・手術率ともに低め | 発症率・手術率ともに高め | 女性は関節構造・筋力・ホルモン変化が影響 |
↑男女別・変形性膝関節症の有病率と手術率↑
膝痛の主な原因
- 変形性膝関節症(関節の軟骨がすり減り、骨同士がぶつかる)
- 半月板損傷(スポーツや加齢でクッション役が傷つく)
- 靱帯損傷(転倒やねじれで起こる)
- 炎症性関節炎(関節に炎症が起こる)
💡 特に変形性膝関節症は50代以降の女性に多く、肥満・筋力低下・O脚が進行要因になります。
体重と膝への負担の関係
膝関節は、歩くたびに体重の約3〜4倍の負荷がかかります。
つまり体重が1kg増えると、膝には3〜4kg分の負担が加わるということ。
ランニングや階段ではその負荷は約6〜8倍に跳ね上がります。
➡ 50代から体重管理が重要なのは、この負担を軽減するためでもあります。
変形性膝関節症を防ぐための習慣
1. 体重管理
- 適正体重を維持することで膝の負担を大幅に軽減
- 極端な食事制限ではなく、タンパク質・野菜中心の食事で筋肉も維持
2. 大腿四頭筋(太ももの筋肉)を鍛える
膝を安定させる筋肉を鍛えると、関節への負担が減ります。
意外と知られてないですが、関節は「鍛えられません!」
関節の周りを鍛えることが有効となります。
- 椅子に座って片足を前に伸ばす「レッグエクステンション」
- 壁に背中をつけて腰を落とす「壁スクワット」
3. 正しい歩き方
- 膝とつま先を同じ方向に向けて歩く
- 踵から着地して体重をスムーズに移動
4. 関節を冷やさない
- 冷えると血流が悪くなり、軟骨への栄養供給が減少
- 膝サポーターやレッグウォーマーで保温
痛みが出たらどうする?
- 軽度の痛み → 休養+軽いストレッチ
- 腫れや熱感がある → 冷却+医療機関受診
- 長引く場合 → レントゲンやMRIで診断を受ける
まとめ
- 50代以降は膝の痛みが増える時期
- 変形性膝関節症は女性に多く、放置すると手術の可能性も
- 体重1kg増で膝に3〜4kgの負担
- 若いうちから体重管理・筋力強化・正しい歩き方を意識することが大切
おわりに
膝の痛みは、日常生活の質を大きく下げます。
しかし、今の習慣を少し変えるだけで、将来の膝の状態は大きく変わります。
私が見てきた患者さんの中でも、50代から運動や体重管理を始めて手術を回避できた方は多くいます。
「まだ大丈夫」と思う今こそ、膝を守る行動を始めましょう。
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